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会社の規模が大きくなればなるほど負担が増える捺印作業。部下を多く持つ管理職の方で捺印作業を多く抱えていらっしゃる方も多いことかと存じます。
管理職の方々の負担が大きいこともさることながら、現場で捺印を待っているメンバの方々にとっても捺印待ちの時間はストレスなのは容易に想像がつきますね。

そして何より承認業務のリードタイムが長いということは、それだけ会社としての意思決定のスピードが遅いということです。

承認業務の効率化および承認待ちのリードタイム短縮のために本当に必要なことは何なのか。本記事ではその考え方を考察していきます。

シリーズ1回目、2回目で承認業務のリードタイムが縮まらない原因とその弊害について見てきました。
そしてシリーズ3回目では今回の承認業務を減らすために考えたいことに向けて、事前にぜひやっておきたい業務の可視化のお話をいたしました。

今回、いよいよ最終回となるシリーズ4回目では、承認業務を減らすためにはどうしたらいいのか具体的な方法論を見ていきます。

承認業務を減らすために考えたいこと

前回、承認業務を減らすためにアレコレ考える前にぜひ業務の可視化をしましょうというお話をいたしましたので、今回はある程度可視化ができたと仮定して、承認業務を改善するためにどのように考える必要があるのか考えていきたいと思います。

究極的に言ってしまえば捺印が必要なものは2パターンしかございません。1つは現場業務に不備が無いかの「確認」、もう1つはその業務を継続、もしくは実行しても良いかの「承認」の2パターンです。

そんなことは言われなくてもわかっていると言われてしまいそうですね。ミスが許されないから何重にもチェックしているんだよ、私の権限だけでは勝手に決められないからいろいろな人に承認をしてもらっているんだよ、だから承認者の数は減らせないんだよ、と。

でも実際にそれが適切なものになっているのかはきちんと考察すべき課題です。

まず「確認」について考えてみたいと思います。

言ってしまいますと、確認業務はダブルチェック以上のことを行っても精度はほとんど変わりません。シリーズ2回目でも触れましたがチェックする人数を増やすことで一人一人のチェックが甘くなれば意味がないのです。もしチェックの精度を上げたいのであればきちんとした業務マニュアルやチェックリスト、確認マニュアルを充実させる方がよっぽど効果的です。チェックする側はどのような点に注意して見なければならないのか、どういったところにミスが起こりやすいのかを明確にすることで、その成果物の精度を高められます。さらにはそういったマニュアルは業務の引継ぎや人材の育成にも大いに活躍してくれることでしょう。これはHITの手法でいうところの管理点と呼ばれるものです。
さらに言うならば、ミスの削減については本来であれば承認工程よりももっと上流の工程で行うべきです。HIT活動でも度々登場いたしますが、転記業務を極力廃止し、機械でできることは機械に行わせるような業務プロセスを考えるべきなのです。
ですので「確認」の意味での捺印は一人、もし不正防止を目的にする場合はもう一人第三者を追加して、最大でも二人までとなるのが理想的です。

次に「承認」についてはどのように考えたら良いでしょうか?

これはより上位の役職の方ほど意識を変えていただく必要がございます。「承認」のステップを減らすために最も必要なことは「権限移譲」です。現場の業務に関することは現場だけで完結させる、課の方針や目標のためのものは課長までで完結させるなどです。ほとんどの場合ビジネスにおける判断は、結局は最終的には結果論でしか評価することはできません。判断が悪かったのか、やり方が悪かったのかは終わってみなければわからないのです。
それであれば、現場の方針、課の方針、部の方針、会社の方針をきちんと明確にしておき、実際の判断および承認は各業務を主導して行う責任者に委ねることが重要です。そのためにはどんな事案に関しては誰が承認をするのかを明確に決める指針が必要にはなりますが、そのときに承認者は何人にも増やさないことが重要です。今まで主任、課長、部長の承認を必要としていたのであれば承認は部長だけで十分なはずです。もし部長はいつも最終確認程度の役割しかしていないのであれば、それは思い切って課長承認にするべきです。

権限移譲したことにより上司に現場の情報が共有されにくくなるということを懸念されるかもしれません。ただ、情報共有と承認業務は切り離して考えるべきです。最終確認しかしないものを承認フローに組込み、その承認がなければ稟議が通らないというのはあまりにお粗末です。もし情報を確認したいのであればそのための仕組みを別途考えることが重要なのです。

そうは言ってもまだまだ権限移譲するには部下が育っていないとおっしゃる方もいるかもしれませんね。でも本当にそうなのでしょうか?権限移譲できない上司の大半は、結局は自分の思い通りにしたいだけで、業務の効率化などは考えていなく、実際は自分が足を引っ張っていることに気づいていないことが多いです。
なぜなら、ほとんどの場合ビジネスにおける判断は、結局は最終的には結果論でしか評価することはできないのですから。

であれば、判断をすることに多くの時間を割くよりも、業務の目的、部署の目標、最終的には何をしたいのかを明確にし、それを伝えることにより多くの時間を割くべきです。
そして判断はより現場に近いところでスピーディに行い、うまくいかなそうであればそれもすぐに方向転換していくというフットワークの軽さこそが企業の強みになることは言うまでもありません。

もし読者の皆さんが自社の意思決定のスピードが遅いと感じていらっしゃるなら、御社の承認フローと本稿の内容を照らし合わせて再考してみてください。
もしかしたらたくさんの不要な承認作業が挟まれていることに気が付くかもしれません。

いかがでしたでしょうか?

シリーズ4回に渡り考察してきました本稿も今回で最終回となります。
本稿が皆様の会社の承認業務を見つめなおすきっかけになり、その結果、皆様の業務がより良いものになってくださいますことを願っています。