昨今話題の働き方改革において、ターゲットとなっているのは主にオフィスワーカーの業務です。しかし、今までオフィスワーカーの業務の改善は難しいものとされてきました。本稿では何故HIT法はオフィスワーカーの業務の生産性向上を実現出来るのかについて、その捉え方から解説いたします。

オフィスワーカーの生産性向上が難しいとされる理由

日本の生産現場における労働生産性は、世界的に見ても高い基準にあるといわれています。その理由は、生産現場が常に改善活動などによって生産性向上に努めていることに加え、インプット・アウトプットが明確であるため、製造の所要時間を含めて業務プロセスが詳細まで設計されているからです。

では一方で、オフィスワーカーの生産性はどうでしょうか。
オフィスワーカーの生産性が低い、改善が難しいとする言説には、「オフィス業務はアウトプットの定義が難しい」とするものが多くみられます。生産性向上への取り組みも、製造部門と異なり、他部署や顧客との関係があるので自部門だけでは実施しきれないので難しいといわれています。

オフィス業務は情報づくりと考える

HIT法は何故、そんなオフィスワーカーの業務の生産性を向上できるのでしょうか。
その答えのひとつは、「オフィス業務を情報づくりの工程」と捉える点にあります。生産現場のアウトプットが製品だとすると、オフィス業務のアウトプットは情報であると定義します。したがって、アウトプットである情報──例えば報告書、稟議書、企画書などの帳票──を作成する工程が、業務プロセスとなります。多くの企業では、オフィス業務を情報加工のプロセスとは考えていないことに加え、このプロセスが可視化されていないためにオフィスワーカーの業務の実態把握や改善・生産性向上が難しい状況へ陥っているのです。

オフィス業務:HIT法での可視化事例

では、オフィス業務のよくある可視化方法と、HIT法でを可視化するとどのような見え方になるかを簡単に比較し、ご紹介します。

よくある可視化例:文章による可視化

企画書作成
企画案を作成し、課長と協議する。
修正した企画書を課長に提出する。

よくある可視化例として、上記のように文章によるものがあります。すでに社内で用意している業務マニュアル等もこのような文章での記述のものが一般的です。
この可視化方法で業務のどこに改善点があるかすぐに発見できますでしょうか。一見、業務の流れを順を追って可視化しているように見えますが、HIT法では改善が出来る状態になければ可視化が出来ているとは言いません。実はこの書き方では、改善をするための情報が不足しているのです。
HIT法ではオフィス業務を情報づくりのプロセスとして捉えますので、情報の生産・加工工程のひとつひとつに目標時間があり、製造の目標時間を計れる状態に可視化・チャート化をします。

HIT法(Sチャート)による可視化事例

Sチャート

HIT法では業務の可視化にSチャート(正式名称:ストレートチャート)を用います。前記の業務をSチャートで可視化すると上記のようになります。
Sチャートでは、その業務における最終成果物(アウトプット)に対する作業手続きとして、業務を書き表します。このチャートでは、最終成果物である企画書.docを作成・加工するプロセスを可視化しています。
先ほどの文章での可視化と比べて、改善に必要な情報が揃ったチャートになっています。

Sチャートならオフィス業務の時間が計れる

Sチャートで可視化をすれば、改善をするために必要な情報が全て揃います。
まず第一に、Sチャートは各作業ごとに意味のある作業記号を用いて書き表しますので、このチャートを正しく書くだけで、どの工程にムダがあるのかが誰でも同じ基準で認識いただけます。

さらに、HITツールを用いてSチャートを書けば、各プロセスごとにどのくらいの時間で作業を行うか時間を計ることが出来ます。この作業時間は、HIT法の有効工数化法で入力いたします(以下、有効工数)。この有効工数と実作業時間を比較することによって、業務間・作業間にどれだけロスが発生しているのかも計ることができます。

このように、HIT法、Sチャートを用いてオフィス業務を情報づくり・加工のプロセスとして捉えて可視化を進めれば、生産現場のようにアウトプットが明確、業務の所要時間を含めて作業プロセスごとにかかる時間を把握していただくことが可能になります。作業記号によってどこ工程にムダがあるのかも合わせて可視化されますので、オフィス業務のどこにムダはあり、どのように改善しればいいのか、また改善することでどれだけ時間(または費用)を削減出来るのかが分かり、誰にでも簡単に生産性向上を実現していただく可能となるのです。

個人の改善だけじゃない!HIT法でオフィス業務の全体最適化を!

Sチャートを用いて業務の可視化を進めていただくと、担当者一人ひとりの改善にとどまらず、全社業務の最適化を実現いただけます。部門、全社の業務を可視化したチャートおよび業務体系表、さらには作成したSチャートから生成する業務管理点マニュアルを用いれば企業の抱える様々な経営課題を解決することが可能です。

本稿では、オフィスワーカーの業務を情報づくりのプロセスと捉えることで可視化、改善、生産性向上が可能であるとご紹介させていただきました。HIT法で実際に何が出来るかご興味のある方は、こちらをご覧ください。